┃相続コラム | |
近年の高齢社会を見据え相続法の大きな見直しが行われました。 相続コラムでは、相続に関連する最新のあらゆるトピックをお届けいたします。 税理士の視点から分かりやすく解説し皆様のお役に立つコラムにしてまいります。 |
こんにちは、公認会計士・税理士の佐々木彰です。
今回は、「なぜ今年はまだ相続税の申告はしない方が良いのか」について説明します。
結論から言いますと、先月発表された路線価に減額調整が入る可能性があるからです。
今年の7月に路線価が公開されました。
この路線価は令和2年1月1日時点の地価をベースにしています。
そのためコロナ禍で地価が下落している土地は多くありますが、路線価にはそのような影響が一切含まれていません。
今回はコロナの影響で地価が下落した土地を持つ方が、税金を納め過ぎないようにするため方法を紹介します。
1.コロナ禍でそのまま路線価で土地を評価する不合理
路線価とは毎年1月1日時点での土地の評価額のことで、毎年7月に国税庁が公開しています。
主に相続税や贈与税を算定する際に路線価を使います。
例年であれば、1年の中でそれほど大きく地価は変更しません。
しかし今年はコロナという非常に大きな影響がありました。
コロナ禍では、次のような不満を持つ人が現れます。
コロナの影響で地価が下がっているのに、その影響が相続税の計算に反映されない(土地が過大評価され、必要以上に相続税を納める必要がある)。
このような不満を解消するため、国税庁は土地の評価の減額調整を行うことを検討しているという報道がされています。
2.路線価の減額調整とはなにか
現時点においては具体的な調整内容は公表されていません。
一部報道等によると、9月に公表される「基準地価」を参考とした調整がされる可能性が示唆されています。
この「基準地価」は7月1日時点の地価を反映しているため、路線価よりより実態に近いものになるのではないかと期待されます。
そのため今年の相続税の申告は、「基準地価」が公表され「国税庁が路線価の減額修正の方法」を発表した後にすると、税金が少なくなるかもしれません。
3.「でももう申告してしまった」「期限が迫っていて待てません」そんな人は
申告済みもしくは国税庁の発表を待てないという人にも救済措置はあります。
それは「更正の請求」です。
更正の請求とは、払い過ぎた税金を請求する(取り戻す)手続きのことです。
期限は法定申告期限から5年以内です。
国税庁が路線価の減額修正の方法を発表してから十分間に合います。
4.おわりに
今年はコロナの影響で、特例となるルールが山のようにあります。
例えば、相続税の申告・納付期限を延長できる特例等もあります。
申告・納付期限の延長 → 6月号相続コラム参照
何が自分に該当するか分からないと思いますので、思い切って税理士に聞いてみてください。
コロナがどのように相続税・贈与税に影響を及ぼすか知りたい方は、当事務所までお問い合わせください。
5.2020年10月29日追記
昨日(2020年10月28日)国税庁より、路線価の減額調整を行わない旨の発表がありました。
地価が大きく下回る状況は確認できなかったとのことです。
この発表により、今年の1月から6月までの相続(1月から6月の間に亡くなった方)に関する特段の調整はなくなりました。
路線価の減額調整を待っていた方については、申告の準備をお願いします。
なお今年の7月から12月までの相続に関しては「検討中」とのことです。
今後国税庁からの発表を待ってから申告したい方は、そのことを税理士と相談してください。
申告期限は相続発生から10か月ですので、焦る必要はありません。
ただし忘れずに申告をお願いします。
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