┃相続コラム | |
近年の高齢社会を見据え相続法の大きな見直しが行われました。 相続コラムでは、相続に関連する最新のあらゆるトピックをお届けいたします。 税理士の視点から分かりやすく解説し皆様のお役に立つコラムにしてまいります。 |
こんにちは、税理士・公認会計士の佐々木彰です。
自宅を相続した場合、その不動産の名義(所有者)を変更するために「不動産登記」を行います。
不動産登記とは不動産の戸籍のようなもので、「誰がこの不動産の所有者か」が記載されています。
現在、相続等で不動産の所有者が変わったにもかかわらず、所有者変更の登記をしない「「未登記」が社会問題になっています。
また社会問題のみならず、あなたの土地や建物が「あなたの名義で登記されていなかった」とすると、大きな損をするかもしれません。
未登記問題の解決は、時間が経てば経つほどに手間と時間と費用が増えていきます。
また詳細は後で述べますが、来年(令和3年)3月31日まで一部税金が免税されています。
自分で使用する、使用しないを問わず登記は必要です。
今回は相続した不動産は登記した方が良い3つの理由について紹介します。
1.理由① 登記しておかないと売却できない・賃貸できない
不動産の売却や賃貸をする場合、その不動産の登記簿で所有者を確認します。
その際に、売却・賃貸をしようとしている人と違う所有者が登記簿に記載されていたら、契約が成立する可能性は非常に低くなります。
現実的に不動産会社に「登記してください」と言われます。
これは登記しておかないと、「本当にこの不動産の所有者かどうか証明できない」ためです。
このままでは買う側も借りる側も安心して契約できません。
2.理由② 不動産を担保にできず銀行から融資を受けられない
これも理由①と同じです。登記をしていなければ、自分がその不動産を所有していることが証明できないので担保にできません。
そのため不動産を担保にして銀行から融資を受けることができないのです。
例えば老朽化や災害によりリフォームが必要になっても、銀行から必要な資金が調達できないので、大規模な工事はできなくなります。
3.理由③ 未登記のまま相続が繰り返されれば、解決するための手間が増大
未登記の不動産の所有者が亡くなった場合、通常の相続と同じように、その子供などの相続人が不動産の新たな所有者になります。
例えば不動産を相続した子供がその不動産の所有者を確認したとき、所有者が「自分の親」ではなく「祖父母」が所有者になっていたとすると、自分の名義に変更するためには、
(1)過去の祖父母の相続に関係する法定相続人全員に連絡をとらなければいけない。
(2)「祖父母から親」「親から自分」の2回分の登録免許税を支払う。※
の2つが必要になります。
つまり、未登記の状態ということは「将来に手間と費用を押し付けている」ということです。
特に時間が経つほど、代襲相続により、過去の相続の関係者は増えていきます。
その全員に連絡をとらなければないのは、非常に大変です。
※ 令和3年3月31日までは、「祖父母から親」への登記にかかる登録免許税が免税(税金がかからない)となります。急いでください。手続き等わからないことがあれば、お問い合わせください。
4.よくある勘違い
よくある勘違いとして「未登記だと固定資産税がかからない」というのは間違いです。登記・未登記関係なく固定資産税は課税されます。
また「登記は義務ではない」ので行わないという人もいます。
しかし、今後「登記の義務化」が行われる方向で進んでいます。義務化では未登記だと反則金がとられる可能性もあります。
このように、未登記であることのメリットはありません。
5.おわりに
昨年の台風による災害や昨今のコロナの影響を見ていると、「非常時に資金確保できる手段を持っているか」または「非常時にいかに素早く資金を確保できるか」が、とても重要になってくると感じています。
繰り返しになりますが、令和3年3月31日までは1回分の登録免許税の免税措置があります。
未登記問題を解決するなら今です。
不動産が「負」動産とならないように、早めに対応してください。
今回のコラムについて詳細を知りたい方は、お気軽に当事務所までご連絡ください。
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