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こんにちは。横浜市南区井土ヶ谷の3代目税理士・公認会計士、佐々木彰です。
「そろそろ事業承継を考えないといけない。」
そう思ったとき、多くの社長が最初に考えるのは、
「息子は継いでくれるだろうか」
「社員の中に任せられる人はいないか」
という「誰に継いでもらうか」ではないでしょうか。
もちろん、それも大切です。
ただ、私は事業承継を考えるとき、最初から後継者を一人に決める必要はないと思っています。
会社の将来には、
親族に継ぐ。
従業員に継ぐ。
第三者にM&Aで引き継ぐ。
そして、自分の代で会社をきちんと終える。
という選択肢があります。
まず必要なのは、この中から一つを選ぶことではありません。
自分の会社に、いくつ選択肢が残っているのかを知っておくことです。
そして多くの場合、その選択肢は、時間がある今の方が多く残っています。
この記事はこんな方におすすめです
● 60代になり、会社の将来が少し気になり始めた社長
● 子どもがいるが、継ぐかどうかはまだ分からない方
● 後継者候補が社内に見当たらない方
● M&Aには何となく抵抗がある方
● 「自分の代で終わらせてもよい」と考えたことがある方
1.会社の将来には4つの選択肢がある
中小企業の出口を大きく分けると、次の4つがあります。
① 親族承継
子どもや兄弟など、親族に会社を引き継ぐ方法です。
② 従業員承継
役員や従業員など、社内の人に会社を引き継ぐ方法です。
③ M&A
社外の第三者に株式や事業を引き継ぐ方法です。
④ 廃業
事業を次の人に引き継がず、自分の代で会社を終える方法です。
どれが正解ということではありません。
会社の状況、家族、従業員、取引先、そして社長自身がどうしたいかによって答えは変わります。
2.ただし、どの会社にも4つあるとは限らない
4つ並べましたが、一つだけ先にお伝えしたいことがあります。
すべての会社が、いつでもこの4つから自由に選べるわけではありません。
社長の希望だけではなく、会社の状態によっても選べる道は変わります。
たとえば従業員承継。
「この人なら任せられる」という人がいても、
株式を買うためのお金をどうするのか。
借入金や経営者保証をどうするのか。
そもそも本人に経営者になる意思があるのか。
こうした問題を一つずつ整理する必要があります。
M&Aでも同じです。
社長にしかできない仕事が多い。
取引先との関係が社長個人についている。
必要な資格や許認可を社長だけが持っている。
こうした状態では、第三者への引き継ぎに時間がかかることがあります。
株式についても、株主構成や名義、過去の相続の経緯などが整理されていなければ、親族承継にもM&Aにも影響します。
少し重い話に感じるかもしれません。
ただ、これまで考えずに来られたのは、会社が問題なく回っていたからでもあります。
会社が順調なときに、わざわざ出口を考える必要性を感じないのは自然なことです。
お伝えしたいのは一つです。
こうした問題は、時間があれば整理できることが多い。
だからこそ、早く考え始める意味があります。
3.親族承継――「子どもがいる」と「継いでくれる」は別
「息子がいるから、いずれ継ぐだろう」
これは、事業承継を考えるときに注意したい考え方です。
親がそう思っていても、子どもは同じように考えているとは限りません。
本人に継ぐ意思があったとしても、
経営者として準備できているか。
社員が受け入れてくれるか。
株式をどう移すか。
先代はいつ、どこまで任せるのか。
考えることはたくさんあります。
親族承継の第一歩は、株価を計算することではありません。
まずは、
「この会社について、将来どう考えている?」
と話してみることです。
私自身、この会社を継ぐと思われていた側にいました。
あのころ自分が何を考えていたかを、父から聞かれた記憶はありません。
もっとも、聞かれていたとしても、当時の自分がすぐに答えられたかは分かりません。
だから、すぐに答えを求めなくてもいい。
まず話題にすることから始めればいいと思います。
4.従業員承継――任せたい人がいるだけでは終わらない
「社員の中に、社長を任せてもいい人がいる。」
これは大きな財産です。
ただし、仕事ができることと、会社を引き継げることは同じではありません。
従業員が後継者になる場合には、
「本人は本当に経営者になりたいのか」
「株式を取得する資金はどうするのか」
「借入金や保証をどうするのか」
「他の社員との関係はどうなるのか」
といった問題があります。
「この人なら任せられる」と思える人がいるなら、その時点で一歩進んでいます。
次に必要なのは、本当に引き継げる形をつくれるかを確認することです。
5.M&A――会社を売ることではなく、事業を残す方法でもある
M&Aという言葉に、
「会社を売る」
「知らない人に渡す」
という抵抗を感じる社長もいると思います。
しかし、後継者がいない会社にとって、M&Aは会社や事業を次につなぐための方法でもあります。
従業員の雇用を残せるかもしれません。
取引先との関係を残せるかもしれません。
社長が長年育ててきた技術や信用を、次の会社につなげられるかもしれません。
もちろん、希望すれば必ずM&Aできるわけではありません。
だからこそ、引退直前になって初めて考えるのではなく、選択肢の一つとして早めに知っておくことが大切です。
6.廃業――失敗ではない。ただし準備なしの廃業は避けたい
廃業は事業承継ではありません。
しかし、会社の将来を考えるうえでは、きちんと検討してよい選択肢の一つだと私は思っています。
無理に子どもに継がせる必要はありません。
後継者がいないからといって、必ずM&Aをしなければならないわけでもありません。
社長自身が、
「ここまでやったから、自分の代できれいに終わりたい」
と考えることも、一つの経営判断です。
ただし、同じ廃業でも、
十分に準備して、自分で時期を決めて終える会社と、
資金がなくなり、選択肢を失ってから終える会社
では大きく違います。
借入金は返せるのか。
従業員にはどう伝えるのか。
取引先への対応はどうするのか。
会社に残った資産をどうするのか。
廃業を選ぶ場合にも、時間があるほどできることは増えます。
7.今日、答えを出さなくていい
事業承継というと、
「後継者を決めなければならない」
と考えてしまいがちです。
でも、今日、答えを出す必要はありません。
数年後に考えが変わっても構いません。
子どもが「やってみたい」と言うかもしれません。
社員が成長して後継者候補になるかもしれません。
会社の状況が変わり、M&Aという選択肢が現実的になるかもしれません。
反対に、自分の代で終わらせることが最も納得できる結論になるかもしれません。
未来は変わります。
ただし、どの道を選ぶにしても、準備に使える時間は今日が一番長い。
だから、まだ決めなくてもいいので、一度数えてみてください。
親族に継ぐ可能性はあるのか。
従業員に継ぐ可能性はあるのか。
M&Aという方法は使えそうか。
自分の代で終えるなら、どのような形がよいのか。
4つを並べて、自分の会社にどの選択肢が残っているのかを考えてみる。
それだけで、十分な第一歩です。
事業承継は、「誰に継がせるか」を決めることから始める必要はありません。
自分の会社には、どんな未来の選択肢があるのかを知ること。
そこから始めてみてください。
ご不明な点等ございましたらお気軽にお問い合わせください。
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