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こんにちは横浜の税理士・公認会計士の佐々木彰です。
最近、「仕入れ値も上がってるし人件費も上げたい。
でもお客さんに言いづらい・・・」という声をよく耳にします。
今回は、そんな悩みを抱える中小企業の社長が、「値上げしてもお客さんに納得してもらえる」ために大切な考え方と、実際にあった事例をご紹介します。
目次
1.なぜ今「値上げ」が必要なのか
中小企業にとって値上げは勇気のいる決断ですが、今は「経営を守るために不可欠な判断」です。
事例①:建設業A社(横浜市)
3年前と比べて、資材の仕入れ単価が約25%上昇。
それでも価格据え置きを続けた結果、粗利率が急落。
「このままだと来年はボーナスが払えない」と社長が気づき、思い切って1割の値上げを決断。
結果、9割以上のお客様が継続。
理由は、「ずっと頑張ってくれてたのがわかってるから」とのこと。
2.値上げ前にやっておくべき3つの準備
(1)原価上昇の“見える化”
事例②:飲食業B店(横浜市)
小麦、バター、ガス代の値上がりで、1つのパンの原価が15円増加。
これまでは売価150円、利益率40%だったが、実際には20%以下に。
→ ノート1枚に「仕入れ価格の変化」をざっくり書き出してお客様に説明。
値上げ後も固定客の離脱はほぼゼロ。
(2)限界ラインの把握
事例③:内装業C社(相模原市)
「材料費が上がっても利益が出てる」と思っていたが、
毎月の入出金を見直した結果、利益ではなく“手元のお金”が減っていることが発覚。
→ 月にいくらの利益が必要かを試算し、「これ以上は品質を落とすか、仕事を断るしかない」という結論に。
(3)自社の価値を言語化
事例④:美容院D店(横浜市)
「カット+カラー」を5,500円で提供していたが、
スタッフのスキルも向上し、施術時間が大幅に短縮。
→ 値上げにあたり、「短時間で高品質な施術」「居心地の良さ」を明文化し、店頭に掲示。
→ 値上げ後は逆に新規顧客の指名が増加。
3.値上げを伝えるときの言い方
値上げは“伝え方”ひとつで反応がまったく変わります。
成功例⑤:精密部品加工E社(横浜市)
大口の法人顧客に値上げを伝える際、
「今後も◯日以内の納品と、ミス0保証を守るために、◯月からの価格を改定させていただきます」と丁寧に説明。
→「ちゃんと考えてくれてる」と信頼が強まり、逆に長期契約に変更。
失敗例⑥:清掃業F社(相模原市)
「人手不足でキツいんで、値上げさせてください」と口頭で伝えてしまい、
「こっちも苦しいんだよ」と言われて半数の顧客が離脱。
4.値上げ後にやるべきフォロー
事例⑦:製造業G社(川崎市)
価格改定後、主要取引先に「以前と同じ品質・納期で対応できていますか?」という確認の電話を実施。
→ 顧客の安心感が高まり、他社からの引き合いも紹介につながった。
事例⑧:訪問介護H事業所(練馬区)
介護報酬が改定されて報酬アップしたタイミングで利用者負担も増加。
→ 値上げの説明と同時に、利用者や家族に「生活に合った利用回数の提案」も行い、解約はゼロ。
5.おわりに
値上げを成功させた企業に共通しているのは、「誠実さ」と「準備力」です。
ただ金額を上げるだけでなく、「なぜ上げるのか」「何を守るためか」「その分、どう応えるか」まで考え抜いています。
売上よりも大切なのは、「利益と信頼を同時に守ること」です。
そのために、まずできる準備から始めてみてください。
ご不明な点等ございましたらお気軽にお問い合わせください。
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