こんにちは、横浜の税理士・公認会計士の佐々木彰です。
令和5年度税制改正の大綱において、NISA制度改正の方針が示されました(2022年12月23日閣議決定)。
今回は、NISA制度について改正点を中心に説明します。
1.NISAとは
NISAとは、国民の資産形成を後押しするために作られた税制優遇制度のことをいい、購入した株式等の売却益や配当金が一定の範囲内において非課税となる制度のことをいいます。
現行制度上では、NISAには「つみたてNISA(2018年1月からスタート)」、「一般NISA(2014年1月からスタート)」、「ジュニアNISA(2016年4月からスタート)」があります。
改正後は、積立・分散投資に適した一定の投資信託を投資対象とする「つみたて投資枠」と上場株式・投資信託等を投資対象とする「成長投資枠」の2種類となります。
なお、「ジュニアNISA」については、2023年末をもって廃止されることになります。
今回NISA制度が改正されることになったのは、「資産所得倍増プラン」の実現に向け、「貯蓄から投資へ」の流れを加速し、中間層を中心とする層が、幅広く資本市場に参加することを通じて成長の果実を享受できるようにするためといわれています。
2.主な改正点
改正点は2024年(令和6年)1月1日以降から適用となります。
(1) 口座開設期間の恒久化
口座開設期間について、つみたてNISA「2042年まで」、一般NISA「2023年まで」となっていますが、改正後は恒久化されることになります。
(2)非課税保有期間(非課税で保有できる期間)の無期限化
非課税保有期間について、つみたてNISA「20年間」、一般NISA「5年間」となっていますが、改正後は無期限化されることになります。
一般NISAの場合、非課税保有期間である5年を経過すると売却して換金するか、継続して保有する場合はロールオーバー(非課税投資枠で保有している金融商品を翌年の非課税投資枠へ移す手続のことをいいます。)の手続が必要となります。
なお、つみたてNISAについては、ロールオーバーはできません。
一方、新制度では、非課税保有期間が無期限となるためロールオーバーの手続は不要となります。
(3)年間投資枠の拡大
年間投資枠について、つみたてNISA「年間40万円」、一般NISA「年間120万円」の選択制となっていますが、改正後は、つみたて投資枠「年間120万円」、成長投資枠「年間240万円」となり、かつ併用可能であるため年間投資枠は最大360万円まで拡大されることになります。
(4)非課税保有限度額(非課税で保有できる限度額)の設定
非課税保有限度額について、つみたてNISA「800万円(=年間投資枠40万円×20年間)」、一般NISA「600万円(=年間投資枠120万円×5年間)」となっていますが、改正後はつみたて投資枠と成長投資枠で合わせて1800万円(内数として、成長投資枠だけで最大1200万円)となります。
また、今回の改正において、非課税保有限度額は、簿価残高方式で総枠を管理することになり例えば、口座内で株式等を売却した場合は簿価が減少するため、その分の枠を再利用することができるようになりました。
3.まとめ
新旧比較
※1 2022年4月1日から成人年齢が18歳に引き下げられたことに伴い、2023年1月から口座を開設できる年齢が20歳以上から18以上に引き下げられました。
※2 2023年末までに現行の一般NISA及びつみたてNISAに投資した商品は新制度の外枠で現行制度における非課税措置を適用することになります。(現行制度から新制度へのロールオーバーは不可となります。)
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