こんにちは、横浜の税理士・公認会計士の佐々木彰です。
働き方改革が推進されたことで、会社以外での時間の過ごし方やキャリア形成が重要になっていくと考えられ、大手も含め副業を認めている会社も多くなっているのではないでしょうか。
忘れてはいけないのが副業している方は原則確定申告が必要です。
その副業の確定申告について2022年10月に国税庁から「重要な通達改正」が発表されました。
なお令和4年分の確定申告から適用されますので副業している方は今回のコラムをよく確認してください。
1.事業所得と雑所得の違い
一般的に副業は事業所得か雑所得に該当します。
この2つには大きな違いがあります。
(1)事業所得:赤字は他の所得と損益通算できる
→ 給与所得+事業所得(赤字)
→ 源泉所得税の還付が受けられる
(2)雑所得:赤字になっても他の所得と損益通算できない
→ 給与所得+雑所得(赤字)
→ 源泉所得税の還付が受けられない
この仕組み(損益通算)を利用して、会社員の副業でほとんど事業としての実態がないものを事業所得として、収入をはるかに上回る経費を計上し、その赤字を給与所得と相殺して節税するというスキームがコロナ禍で流行ったそうです。
これを封じ込みたいという国税当局の考えがあるかもしれません。
2.事業所得か雑所得かの判断
国税庁から発表された改正通達(所得税基本通達35-2)では、事業所得と業務に係る 雑所得の区分については、社会通念上事業と言える程度の規模で行っているかどうかで判定することが原則ですが、収入金額での即足切りは行わず、事業所得者に義務付けられた記帳・帳簿書類の保存を行っているかどうかで事業所得か雑所得かを判定することとしました。
これにより、副業収入が300万円以下であっても、記帳・帳簿書類の保存を行っていれば、多くのケースでは事業所得と認められることになりました。
ただし、その所得に係る取引を記録した帳簿書類を保存している場合であっても、例えばその所得の収入金額が僅少の場合など、事業所得と認められるかどうかを個別に判断することとなります 。
イメージとしては次のようになります
(国税庁ホームページより抜粋)
注意としましては
「帳簿書類の保存がされている=事業所得」ではないということです。
あくまでも、事業所得というためには、「社会通念上、事業と言える程度の規模」が前提となっているのです。
ただし、それを下回る場合であっても「帳簿書類の保存がされている=おおむね事業所得に該当」することになりました。
3.おわりに
今回は事業所得と雑所得に係る改正通達について紹介いたしました。
この内容は令和4年分の確定申告から適用されますので、ご自身の副業がどちらの所得に該当するかしっかりと判断してください。
ご不明な点等ございましたらお気軽にお問い合わせください。
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