こんにちは、公認会計士・税理士の佐々木彰です。
今回は新型コロナウイルスにより業績が悪化した中小企業への支援制度「補助金」を紹介します。
ウィズコロナ時代に対応した新しいビジネスモデルへの変化やテレワーク環境の整備がこれから本格的に必要になるかもしれません。
そのような予定がある・もしくは検討している方がいましたら、ぜひ今回紹介します補助金の申請を検討してください。
期限が迫っていますが、今回紹介する2つの制度は非常に使える補助金です。
コロナに負けない会社づくりためにも有効に活用してください。
※ 本コラムは2020年8月23日時点の情報となります
目次
1.小規模事業者持続化補助金「コロナ特別対応型」
この補助金は、新型コロナの影響を乗り越えるために投資を行う小規模事業者の取り組み(販路開拓や生産性向上の取り組みを含む)に要する経費の一部を支援する制度です。
※ クラスター対策が特に必要な事業者(バー等)にはさらに上乗せがあります。
詳細は公募要領等をご確認ください。
(1)対象者
対象者は小規模事業者(具体的には以下に該当する株式会社や個人事業主)
商業・サービス業(宿泊業・娯楽業を除く) |
常時使用する従業員の数 5人以下 |
サービス業のうち宿泊業・娯楽業 |
常時使用する従業員の数 20人以下 |
製造業その他 |
常時使用する従業員の数 20人以下 |
ただし、医師や歯科医師・まだ開業していない創業予定者等は対象になりません
(2)経費の内容の条件
補助金が出る経費((3)参照)の1/6以上が、以下のABCいずれかに合致する投資
項目(投資の目的) | 内容(例) |
A:サプライチェーンの毀損への対応 |
顧客への製品供給を継続するための内製化 |
B:非対面型ビジネスモデルへの転換 |
非対面のためにキャッシュレス端末の導入やテイクアウト用のHP作成 |
C:テレワーク環境の整備 |
WEB会議システムの導入やクラウドサービスの導入 |
※ 「1/6以上のルール」をクリアしていても、残りの投資は販路開拓や生産性向上のためでなければなりません
(3)補助金が出る経費(補助対象経費)について
(2)のA~Cの経費及び販路拡大・業務効率化のための経費には条件があります。
例えば、汎用性があり目的外使用可能な、パソコンやタブレットPC、その周辺機器の購入費用は補助対象外です。
WEB会議システムやクラウドサービスの導入は対象となります。
何が対象になるかの詳細は「公募要領」をご確認ください。
また気になるシステムがあれば、実際にその業者に「小規模事業者持続化補助金の実績があるか」を聞いてみるのが一番かもしれません。
(4)補助金の上限・補助率
(2)のA~Cの経費及び販路拡大・業務効率化のための経費には条件があります。
・補助上限額 :100万円
・補助率 A:3分の2
B・C:4分の3
(5)事業再開枠について
「事業再開枠」とは、小規模事業者持続化補助金に採択された事業者がコロナ対策を行いたい場合、補助上限50万円までの定額補助(補助率100%)にも併せて申請できる追加補助のことです(なお、事業再開枠のみの申請はできません)。
(6)事業再開枠の補助対象経費
1:消毒非常やマスク費用等の感染拡大防止のための費用
2:自らの事業が該当する業種別ガイドラインに基づいた感染拡大予防のための取り組み
(参考URL)https://corona.go.jp/
(7)まとめ
類型 | 補助対象 | 補助率 | 補助上限額 | 注意 |
A |
サプライチェーンの毀損への対応 |
2/3 |
100万円 |
補助対象経費の内1/6以上がA |
B |
非対面型ビジネスモデルへの転換 |
3/4 |
補助対象経費の内1/6以上がB |
|
C |
テレワーク環境の整備 |
補助対象経費の内1/6以上がC |
||
事業再開枠 |
感染拡大防止の取り組み |
全額(100%) |
50万円 |
事業再開枠のみの申請はできない |
(8)申請手続き
商工会か商工会議所で申請手続きを行います。
自分の会社・事業所がどちらの管轄にあるのかを確認してください。
また申請書類については「小規模事業者持続化補助金のホームページ」よりダウンロードできます。
(9)締め切り
第4回受付締切: 2020年10月2日(金)
(第1回から第3回までは終了)
2.IT導入補助金「特別枠(C類型)」
この補助金は、新型コロナの対策及び感染拡大防止に向け、具体的な施策(テレワーク環境の整備等)に取り組む 事業者による ITツール導入を支援するための制度です。
(1)対象者
中小企業者及び小規模事業者
・中小企業者 :業種によって条件が異なります。IT導入補助金2020の交付規程をご確認ください。
・小規模事業者:1(1)の小規模事業者持続化補助金と同じです。
(2)申請するITツールの条件
ITツールには以下の、甲、乙、丙の3つのいずれか一つの目的に資するITツールが一つ以上必ず含まれていること。
また、当該ツール等の経費が補助対象経費全体の1/6以上を占めていることが条件となります。
項目(投資の目的) | 内容(例) |
甲:サプライチェーンの毀損への対応 |
顧客への製品供給を継続するためにITツールを導入 |
乙:非対面型ビジネスモデルへの転換 |
非対面ビジネスに転換するためにITツールを導入 |
丙:テレワーク環境の整備 |
WEB会議システムやクラウドサービスといったITツールの導入 |
(3)補助対象経費
(補助対象経費は、あらかじめ事務局に登録されたITツールの導入費用となります。
そのため気になるITツールがある場合には、必ず事前にその業者に確認してください。
その他、詳細な条件は公募要領をご確認ください。
(4)補助金の下限及び上限・補助率
・補助金の下限及び上限額:30万円~450万円
・補助率 甲:3分の2
乙・丙:4分の3
(5)賃上げの取り組みが重要
「対象ツールが「甲」の場合は150万円以上、「乙・丙」の場合は300万円以上の補助金を受ける場合には、年率1.5%以上の賃上げが必須となります。
未達の場合には、補助金の返還が求められます。
またこれらの金額未満の補助金を受け取る場合であっても、賃上げ目標は加点になります。
(6)まとめ
類型 | 補助対象 (ITツール) |
補助率 | 補助金申請額 | 賃上げ目標 |
C類型-1 (甲) |
サプライチェーンの毀損への対応 |
2/3 |
30万~ 150万円未満 |
加点項目 |
150万~ 450万円まで |
必須条件 |
|||
C類型-2 (乙or丙) |
非対面型ビジネスモデルへの転換 |
3/4 |
30万~ 300万円未満 |
加点項目 |
テレワーク環境の整備 |
300万~ 450万円まで |
必須条件 |
(7)申請手続き
補助金の交付申請を行う準備として、まずは自社の業種や事業規模、経営課題に沿って、IT導入支援事業者と導入したいITツールを選定します。
IT支援導入支援事業者やITツールは「IT導入補助金2020」のホームページより検索可能です。
(8)締め切り
第7回受付締切:2020年9月30日(水)
(第1回から第6回までは終了)
3.県や市独自の補助金制度もある
補助金額は国より少ないですが、県や市も独自の補助金制度を実施しています。
ただし補助金の予算が国と比較して少ないので、締め切り前に終了してしまう補助金もあります。
こまめにホームページをチェックするか、税理士等の専門家に聞いてみてください。
4.おわりに
今回紹介した2つの制度はコロナ対策のため例年より補助率が高くなっている等利用するメリットが大きいものとなっています。
会計に限っていえば、freeeといったクラウド会計ソフトがIT導入補助金の対象ツールになっています。
駆け込みにはなりますが、導入したいものがこの制度と合致するならば、ぜひ検討をお願いします。
なお、今回の補助金だけでなく、すでにお伝えしている通り、持続化給付金や家賃支援給付金なども非常に有用な制度です。
・持続化給付金 →6月号コラム
・家賃支援給付金 →8月号コラム
今回のコラムについて詳細を知りたい方は、お気軽に当事務所までご連絡ください。
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