税理士の佐々木彰です。
新型コロナウイルスの影響で業績が悪化した会社・個人はとても多いかと思います。
日本政策金融公庫(以下、公庫)で、低利率(場合によっては無利子)で借入できる制度「新型コロナウイルス感染症特別貸付」が始まっております。
資金繰りが厳しい会社・個人におかれましてはぜひ活用して、経営の立て直しに役立てて頂きたいと思います。
目次
1.利用できる条件
(1)創業してから1年1か月以上
最近1ヵ月の売上高が前年または前々年の同期と比較して5%以上減少している。
例えば、令和2年3月の売上高が950万円とすると、平成31年3月もしくは平成30年3月の売上高が1,000万円以上であれば条件に該当します。
また、この場合3月1日から31日ではなくとも、2月18日から3月17日といった期間の取り方でも問題ありません。
そのため月末を待たなくても申請できますので、売上が落ちているのであればすぐに動いてください。
(2)創業してから3か月以上1年1か月未満
最近1か月の売上高が次のいずれかと比較して5%以上減少している。
① 過去3か月(最近1か月を含む)の平均売上高
② 令和元年12月の売上高
③ 令和元年10月から12月の平均売上高
(3)創業してから3か月未満
この制度を利用することはできません。
2.利率
(1)最初の3年間は基準利率より0.9%低減されます
国民生活事業:0.46% ただし3,000万円の借入まで
中小企業事業:0.21% ただし1億円の借入まで
(2)4年目以降は基準金利となります
国民生活事業:1.36%
中小企業事業:1.11%
3.実質無利子化とは(事後的な利子補給)
最初の3年間は一度公庫に利息を支払うものの、事後的に利子補給を受けることによって実質的に利子負担がなくなります。
(1)条件
① 小規模の個人事業主:条件なし
② 小規模の法人事業者:売上高15%減少
③ 中小企業者(①②を除く事業者):売上高20%減少
*小規模の条件は「サービス業・卸売業・小売業は従業員5名以下、その以外の業種は従業員20名以下」となります
(2)実質無利子となる借入の上限額
国民生活事業:3,000万円までの借入
中小企業事業:1億円までの借入
4.借入の限度額
別枠の借入となりますので、既に融資枠が上限であっても借りられます。
国民生活事業:6,000万円まで借入可能
中小企業事業:3億円まで借入可能
5.返済期間
借入目的によって期間が異なります。
設備資金の借入:20年以内(うち据置期間は5年以内)
運転資金の借入:15年以内(うち据置期間は5年以内)
6.担保
無担保
7.提出書類
(1)国民生活事業(既に取引がある場合)
・借入申込書(公庫のHPより入手できます)
・最近2期分の申告書・決算書
・新型コロナウイルス感染症の影響による売上減少の申告書
(2)中小企業事業(既に取引がある場合)
・借入申込書(公庫のHPより入手できます)
・最近3期分の申告書・決算書
・試算表や新型コロナウイルス感染症の影響による売上減少の申告書等の最近の売上が確認できる書類
公庫と取引が今までなかった方も登記事項証明書等を追加で提出すれば利用できます。
8.新型コロナウイルス感染症特別貸付以外の制度
新型コロナウイルス感染症により主に下の3つの制度が拡充されております。
(1)セーフティーネット貸付(公庫)
(2)マル経融資(商工会議所等の推薦を受けた後、公庫)
(3)セーフティーネット保証4号及び5号(民間・神奈川県や横浜市等の自治体)
各制度によって、借入の限度額や利率、保証料等異なります。
おわりに
今回のコロナ関連の特別借入の申込みの期限は決まっておりませんが、窓口は相当混雑していることが想定されます。
もし借入するのであれば早めのご対応をお願い致します。
借入するにあたり、手続きの等不安があれば弊所へご相談して下さい。
今回のコラムについて詳細を知りたい方は、お気軽に当事務所までご連絡ください。
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