「救急車は無料であることを伝える」
東京五輪開催まで1年を切った先日、もし外国人に救急車の要請が必要か確認する際はそのように伝えると外国人客を迎え入れるための手引きで目にしました。
日本人の私としては、救急車は無料ということが当たり前で最初は不思議でなりませんでした。
しかし、後で調べてみると海外のほとんどの国では救急車を呼ぶのに数万円ほどの費用がかかるということを知り納得しました。
また、日本では誰もが自分で行きたい病院を好きに選び平等に医療を受けることができます。
このように日本では当たり前のことであっても、諸外国ではそうではないことを知ると日本の社会保障制度のありがたみを改めて痛感しました。
ただ、近年は社会保障制度の財源不足が問題になっており、今後は救急車の有料化について既に検討に入っているという話も聞きます。
ところで、社会保障制度と言えば、消費税が社会保障の充実や安定などを目的とした税金であることを皆様はご存知でしょうか。
そこで、今回のコラムでは来月に迫った消費税の増税に向けて「まだ何もしていない人達」が「まず何から始めたら良いか」という軽減税率への対応についてご紹介したいと思います。
1:そもそも何が軽減税率(8%)なのか
(1)基本的に、飲食料品が該当します。ただし例外も多いので注意が必要です。
消費税率 | 10% | 軽減税率(8%) |
例 | ・お酒 ・外食 ・清掃用の重曹 ・風邪薬や栄養ドリンク (医薬品・医薬部外品等のもの) |
・ミネラルウォーター、清涼飲料水 ・テイクアウト、出前 ・食塩 ・医薬品・医薬部外品等ではない栄養ドリンク |
※この表は数ある取引の一部でしかありません。この表以外にも判断に迷うケースは多数あります。
(2)セット販売(8%と10%の物を合わせて売るとき)はどうするのか
① 販売価格が1万円以下
② 食品(8%)の金額が全体の2/3以上
③ セット販売に係る価格のみが提示されている
④ 食品(8%)と食品以外(10%)があらかじめ一つとしてまとめられている
①~④をすべて満たすもののみ、全体を8%で販売できます。
したがって、「この箱の中の商品は、3つまとめて5,000円」等の売り方では、まとめて8%とすることはできません。
2:増税までに何をしなければならないのか
(1)自社の「販売しているもの」及び「販売形態」に8%になるものがあるのかチェックする
もし8%に該当するものがなければ、増税対応は簡単です。レジと請求書の税率を10%にして、会計ソフトをアップデートしてください。これで完了です。
ただし、8%に該当するものがあれば早急に対応することが必要です。小売や飲食店等のB to Cの形態は(2)から(6)、B to B の形態は(3)・(5)・(6)を確認してください。
(2)今のレジで対応できるか確認する
今のレジが複数税率に対応できるのか、またレシートはどのような様式か(8%とわかるようなものになっているか)
(3)区分記載請求書に対応する
区分記載請求書とは現在の請求書に①軽減税率の対象品目である旨②税率ごとに合計した対価の額が記載されている請求書のことで、8%になる食品等を販売している場合には、必ず対応しなければなりません。
(4)メニュー等の価格表を変更するか検討する
例えば、「店内飲食」と「テイクアウトや出前」をやっている店や「ミネラルウォーター」と「アルコール」を販売している店等は、メニューや値札をどうするか(内税or外税、出前と店内飲食用でメニューを別につくる等)を考えることとなります。
(5)使用している会計ソフトが増税対応のアップデートが行われるか確認する
保守等のサービスに入っていれば問題ありませんが、そのようなサービスに加入していない場合は新規に購入することを検討してください。
(6)従業員への教育
軽減税率により、「レジ打ちの人」「請求書を発行する人」「帳簿を作成する人」に大きな影響があります。
例えば、レジを打ちの人は、お客さんごとに「店内かテイクアウトか」を確認する業務が増えます。
そのためそれぞれの人たちに、何が軽減税率に該当するかの理解とそれに伴うオペレーションを理解してもらうことがとても重要です。
3:まとめ
複数税率の導入により、現場は相当混乱することが予想されます。そうならないためにも、まず何が軽減税率になるのかを確認してください。
相当細かく例外がありますので、専門家に確認することが間違えないためには必要です。
また、日々のオペレーションをどうするか等の不安もあると思います。そのような場合には、税理士に相談ください。
以上が、消費税の軽減税率への対応についてです。
消費税の引き上げにより、私たちの生活にかかる負担も増え不満を感じる方もいるかもしれません。
しかし、出産や子育て支援、健康保険や年金保険といった社会保障を充実させるために消費税は欠かせないものです。
最後に、社会保障の充実と安定は自分自身や大切なご家族のためでもありますので、消費税や社会保障について今一度考えみてはいかがでしょうか。
今回のコラムについて詳細を知りたい方は、お気軽に当事務所までご連絡ください。
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