「トカゲの尻尾切り」
不祥事の幕引きなどでよく耳にする言葉ですが、実際にトカゲは危機が迫ると自らの尻尾を切って逃げるのは有名な話しですよね。
そして、何事もなかったかのようにまた綺麗に尻尾が生えてくるのは、生命が生まれながらに持っている「自然治癒力」と言われている機能の1つである「自己再生機能」によるものだそうです。
私も子供の頃なぜ尻尾がまた生えてくるのか不思議でしたが、近年そのメカニズムが解明され医学の現場で応用しようと研究が進んでいます。
ところで、医学の現場といえば、先月、本庶さんがノーベル医学・生理学賞を受賞しました。
そして、本庶さんの研究は、トカゲの尻尾と同じ「自然治癒力」の機能の1つである「自己防衛機能」を生かしたもので、その研究の核となる「免疫治療法」はがん治療に革命をもたらしました。
「今世紀中にがんは脅威ではなくなる」という本庶さんの力強い言葉は、今後のがん治療に対する認識が大きく変わることになるのではないでしょうか。
さて、税務の世界でも大きく変わる出来事があり、配偶者特別控除の見直しにより今年の年末調整から申告方法等が変わるので注意してください。
そこで、今回のコラムでは平成30年分年末調整についてお知らせいたします。
■ 年末調整とは
給与の支払者は、1月から12月の毎月の給与を支払う際に所得税の源泉徴収を行います。
しかし、実際には毎月源泉徴収を行った合計額と実際に支払う所得税の額には違いが出てきます。
そのため「1年間に源泉徴収をした所得税の合計額と1年間に納めるべき所得税額を一致させる」手続きのことを年末調整といいます。
■ 年末調整の対象者
年末調整の対象となる主な人は以下のとおりです。
・ 会社などに1年を通じて勤務している人
・ 年の中途で就職し年末まで勤務している人
ただし、以下のいずれかに当てはまる人は除かれます。
・ 1年間に支払うべきことが確定した給与総額が2,000万円を超える人
・ 災害減免法の規定により、その年の給与に対する所得税の源泉徴収について徴収猶予や還付を受けた人
■ 今年度の年末調整の主な変更点
今年度の年末調整の主な変更点は主に以下のとおりです。
1:申告書が2種類から3種類に増加
今まで申告書は「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」と「給与所得者の保険料控除申告書兼配偶者特別控除申告書」の2種類でした。
しかし、今年から「給与所得者の保険料控除申告書兼配偶者特別控除申告書」が「給与所得者の保険料控除申告書」と「給与所得者の配偶者控除等申告書」に分離したため、今年の申告書は「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」「給与所得者の保険料控除申告書」「給与所得者の配偶者控除等申告書」の計3種類になりました。
【前年まで】
・給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
・給与所得者の保険料控除申告書兼給与所得者の配偶者特別控除申告書
【今年から】
・給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
・給与所得者の配偶者控除等申告書
・給与所得者の保険料控除申告書
2:配偶者控除の場合も別途申告書を提出
前年までは、配偶者控除の場合は別途申告書の提出は不要でしたが、今年からは「給与所得者の配偶者控除等申告書」の提出が必要になりました。
3:配偶者(特別)控除の適用範囲が拡大
今年から配偶者控除及び配偶者特別控除の適用範囲が拡大されました。
【配偶者控除】
・前年まで:年収103万円以下(合計所得金額38万円以下)
・今年から:年収150万円以下(合計所得金額85万円以下)
【配偶者特別控除】
・前年まで:年収141万円以下(合計所得金額76万円以下)
・今年から:年収201万円以下(合計所得金額123万円以下)
4:控除適用に所得制限が設定
今年から配偶者控除及び配偶者特別控除の控除額が給与所得者(納税者)本人の合計所得金額により段階的に変更することになりました。
配偶者控除の場合は以下のとおりです。
1、合計所得金額900万円以下(年収1,120万円)
・配偶者控除金額:38万円
2、合計所得金額900万円超950万円以下(年収1,120万円超1,170万円以下)
・配偶者控除金額:26万円
3、合計所得金額950万円超1,000万円以下(年収1,170万円超1,220万円以下)
・配偶者控除金額13万円
4、合計所得金額1000万円超(年収1,220万円超)
・配偶者控除なし
以上が、平成30年分年末調整についてです。
本庶さんはご自身の研究意義について「自然に治るほとんどの病気は、つまり医者が変なことをしなければ、自然に治る。人間の体というのは、自己治癒力があるわけですよ。(自身の研究は)それを助けることなんだよね」と話しています。
この自己治癒力という免疫療法のすごいところは、主な治療法である抗がん剤とは違い自らの治癒する本来の力を手助けする方法のため副作用が少ないそうで、今後のがん治療の切り札になることを私は切に願います。
最後に、健全な企業経営を維持するためには、その職場で働く社員1人ひとりの企業への想いや力といった企業自身の自浄作用も重要だと私は考えています。
そして、私は税理士として、皆様が本来の力を発揮できるようにするために全力で手助けすることを惜しみません。
今回のコラムについて詳細を知りたい方は、お気軽に当事務所までご連絡ください。
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