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税務を取り巻く環境は、年々大きな変化を見せています。 このコラムでは、世の中の動きをプロの視点から できるだけ分かりやすく解説していきたいと思います。
7月号
生命保険と法人税について

皆様は、最近話題になっている自民党の若手議員が
提案した「こども保険」についてご存知でしょうか。

「こども保険」と聞くと、子供のための学資保険や傷害保険など皆様のお子様を守るための保険だと一般的には感じてしまいますよね。

しかし、今話題の「こども保険」とは、子供が教育などを受けられないリスクを社会全体で支えるため厚生年金及び国民年金の保険料に上乗せして財源を確保する提案のことなのです。

保険といえば、最近は痴漢冤罪保険、ペット保険、チケットガード保険(コンサートなどのチケットをキャンセルした時の保険)など様々なニーズに対応した保険が増えているそうです。

また、同じ名前や種類の保険でも保障の内容が全く違う保険など世の中には数多くの保険商品が出回っています。

保険の数が増えている今、大切なのは保険に加入する目的を明確にし、自分にとって最適な保険(補償)を選択することなのではないでしょうか。

ところで、税務の世界にも生命保険と法人に係わる関連税制があります。

そこで、今回のコラムでは生命保険と法人税についてお伝えいたします。

法人の生命保険への加入と言いますと、つい法人税の節税対策にばかり目が行ってしまいます。

しかし、生命保険への加入には以下のような主なメリットもあります。

■ 保険料が損金として計上できる

まず、保険料の全部または一部は、損金として計上することができますが、解約時に受け取ることができる解約返戻金は益金となり課税の対象になります。

そのため、生命保険への加入は節税ではなく、課税の繰り延べにすぎないという点に注意してください。

ただし、解約時の決算がもし赤字だった場合には、解約返戻金が赤字と相殺されることにより益金が減るのと同時に課税額も減少するため節税になったと言えるのかもしれません。

■ 経営者の万一の死亡に備えることができる

生命保険の本来の役割は、万一の死亡や病気の際のリスクに備えることです。

例えば、経営者が万一に死亡した場合でも借入金返済や買掛金支払い、社長の死亡退職金など事業をスムーズに継続するための資金調達に備えることができます。

■ 経営者の万一の病気に備えることができる

経営者の万一の死亡と同様に経営資金が必要になった場合、保険金を受け取ることで資金の調達が可能になります。

経営者が業務を行うことが困難になってしまうなど万一の病気に備えることで、その後の事業の安定に繋げることができます。

■ 退職金などを計画的に準備することができる

保険料を損金化しながら経営者の退職金準備など大きな出費に備え計画的に準備することができます。

将来の退職金や大きな出費を計画に入れ保険に入り、出費のタイミングで解約返戻金を受け取ることで穴埋めを行い赤字決算にならないようにすることも可能です。

■ お金の借り入れをスムーズにする

生命保険などの積立型の保険には、契約者貸付制度有しているものがあります。

契約者貸付制度とは、契約している生命保険の解約返戻金を担保に保険会社からお金を借りる制度のことです。

保険は解約したくはないが、まとまったお金がどうしても必要な場合には有効的な制度になります。

生命保険には様々な種類や特徴がありますので、分からないことなどは信頼できる税理士や保険会社の方に相談することをお勧めします。

以上が、生命保険と法人税についてです。

冒頭で紹介した「こども保険」ですが、まず制度の名称に疑問を感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

ただ、この制度は子供を育てやすい環境を整え少子化に歯止めを掛け日本全体を活性化することで、年金問題や日本経済の発展といった国民全体の話へ繋がる可能性があるのではないかと感じています。

そして、あえて「こども保険」という名称にすることで少子高齢化問題に一石を投じようと考えているのであれば面白い方法の一つだと私は考えております。

今回のコラムについて詳細を知りたい方は、お気軽に当事務所までご連絡ください。

2017/07/01
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