「レッドリスト」という言葉を皆様はご存知でしょうか。
レッドリストとは、絶滅のおそれのある野生生物のリストのことで、日本には3,634種の絶滅危惧種がいるそうです。
先日、そのうちの1種である貴重なメダカを偶然にも拝見する機会があったのですが、昔は身近な存在だったメダカの泳ぐ姿を見て私はそこはかとなく寂しい気持ちになりました。
また、私はその貴重なメダカを見ながら、ふとダーウィンの「最も強い者ではなく変化できる者が生き残る」という言葉を思い出しました。
環境の変化に対応し進化することが絶滅から逃れ生き残るには大切で、キリンは首が長く進化したことで生き残っているという説は有名ですよね。
しかし、メダカは農薬の使用や生活排水など水質汚染による環境の変化に対応できずに生息数が激減してしまったそうです。
そして、メダカが絶滅危惧種になってしまった主な原因が人間にあるということに心が苦しくなりました。
ところで、変化といえば、税務の世界では今年も税制改正が行われさまざまな税制が変化し進化しています。
そこで、今回のコラムでは平成29年度税制改正についてお知らせいたします。
■ 平成29年度税制改正の主なポイント
既にニュースなどでご存知の方もいらっしゃると思いますが、平成29年度税制改正の主なポイントは以下のとおりです。
1:配偶者控除及び配偶者特別控除の見直し
平成30年度の所得より配偶者の給与収入が150万円以下(現行は103万円以下)までは配偶者控除が適用できます。
ただし、居住者自身(世帯主)の合計所得金額が1,000万円超だと配偶者控除の適用はできません。
2:療費控除等の添付書類の見直し
医療費控除及びセルフメディケーション税制の添付書類が領収書から明細書に変わります。
この見直しは、平成29年分以後の確定申告書を平成30年1月1日以降に提出する場合について適用されます。
・セルフメディケーション税制とは
平成28年度税制改正で創設された制度で、健康診断やがん検診などを受けている個人が、一部の市販薬を購入した際に所得控除が受けられる制度です。
ただし、医療費控除を受けるのか、またはセルフメディケーション税制による所得控除を受けるのか、どちらかを選択することになります。
3:積立NISAの創設
平成30年1月より年間投資上限額40万円、非課税期間20年(NISAは年間投資上限額120万円、非課税期間5年)という積立NISAが創設されます。
現行のNISAよりも長期の積立を前提とした制度となっています。
4:所得拡大促進税制の見直し
企業の賃上げを促す減税制度を拡充し、平均給与額が前年度より2%以上増えた中小企業は、給与総額の増加分の最大22%(現行は10%)が法人税から控除可能になります。
5:中小企業者等の軽減税率の特例の延長
中小法人等の法人税の軽減税率の特例(課税所得800万円以下の部分については法人税率15%)が平成31年3月31日以前開始事業年度まで延長されます。
6:相続税・贈与税の納税義務の見直し
国内に住所を持たず日本国籍を有する人のその国外財産について、相続税・贈与税の対象外要件である海外での居住期間が「5年超」から「10年超」に見直しされます。
7:居住用超高層建築物に係る課税の見直し
平成30年度から新たに課税される居住用高層建築物(タワーマンションなど高さが60m超)に係る固定資産税・不動産取得税について見直しされます。
建築物全体の固定資産税額を按分する床面積の割合について、現行は全ての階層で同じ計算だったものが1階を100とし1階増すごとに10/39を加えた補正率で計算されます。
このため、課税額が高階層の方は大きくなり、低階層の方は少なくなります。
以上が、平成29年度税制改正の主なポイントについてです。
企業が生き残ったり発展したりする上でも環境の変化など色々な状況に対して柔軟に対応し変化することは大切なのかもしれません。
変わりたいという強い意志を持ち変化することで、変化の先にあるより良い企業への進化へと歩を進めることができると私は信じています。
最後に、世間の流れに対応して最近スマホデビューした私が、スマートフォンで撮影した絶滅危惧種のメダカをご覧ください。
今回のコラムについて詳細を知りたい方は、お気軽に当事務所までご連絡ください。
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