最近は春らしい陽気の日も増えましたが、まだまだ寒い日が続きますね。
そんな寒い日は、晩酌には温かい日本酒で一杯やりたいものです。
近年、日本酒は海外でもブームになっており、その背景には、トップが世代交代して次世代の人がやりたかったことを積極的に行い成功していることもあるそうです。
ところで、団塊の世代の経営者が70代に突入することから、酒蔵だけではなく世代交代の時期を迎える企業が増えています。
日本は、100年以上続いている企業の数が世界一で、企業を継承させたいという意識がとても高い国だと言われています。
しかし、特に中小企業では事業承継の後継者問題など経営者の方にとっては考えなければいけないことが多く、事業承継は遅々として進んでいないのが現状のようです。
そこで、今回のコラムでは中小企業の事業存続を支援する制度の一つとして同族会社継承時の事業承継税制についてお伝えします。
■ 事業承継税制
平成25年度の税制改正で事業承継税制が拡充されました。
1:事業承継税制のメリット
相続があった時、会社の価値を財産として評価する場合は、類似業種比準価格などのように株価の算定を行います。
その時点で会社を清算して株主が株数に応じて分配した場合の金額です。
しかし実際は、企業は継続をしていかなければなりません。
事業に必要な財産をその時点で処分するわけにもいきません。
相続税の納税資金が、企業の事業承継を難しくしてきました。
そこで、同族会社の株式を、事業を承継する人が相続する場合に自社株にかかる相続税の80%、贈与税の100%が免除されるのが事業承継税制の最大のメリットです。
2:相続税の納税猶予の特例
後継者の相続税額のうち議決権株式数(相続後で発行済み議決権株式などの3分の2に達するまで)の80%に対応する相続税の納税を猶予できます。
・条件
たくさんあります。
① 先代経営者
・会社の代表者だった
・相続開始直前に同族関係者を含めて50%超の議決権を保有
② 後継者である相続人
・相続開始から5か月以内に会社の代表権を有すること
・相続開始時に同族関係者を含めて50%超の議決権を保有
ただし、経営承継期間内に、以下に該当した時は全額の相続税を支払います。
① 特例の適用を受けた株式を譲渡した場合
② 会社の代表権を有しなくなったとき
③ 雇用の平均が相続時の雇用の8割を下回ったとき
以下に該当した時は、相続税が免除されます。
① 後継者の死亡
② 経営承継期間後に後継者へ株を贈与
3:贈与税の納税猶予の特例
贈与税額の全額が猶予され、先代経営者の死亡により免除されます。
① 先代経営者
・代表権を有していた
・贈与時に代表権を有していない贈与の直前に同族関係者を含めて50%超の議決権を保有していた
② 後継者である受贈者
・会社の代表者である
・20歳以上である
・役員の就任から3年以上経過している
・贈与の直後に同族関係者を含めて50%超の議決権を保有している
③ 贈与税が免除されます
・先代経営者が死亡したとき
・後継者が死亡したとき
④ 先代経営者が死亡した時の取り扱い
相続または遺贈により取得したものとみなして他の相続財産と合算して相続税額を計算します。
相続税の納税猶予の特例を受けることができます。
以上が、同族会社継承時の事業承継税制についてです。
事業承継を成功させるためには継承準備が必要不可欠で、50歳を過ぎたらすぐに着手すべきと言われています。
また、継承準備は大きく分けると「後継者育成」と「財務面」があり、主な検討や準備すべきことは以下のとおりです。
■ 後継者育成の準備
・後継者候補を選定する
・10~15年後に引退することを宣言する
・銀行、仕入先、納品先などへ取引が成功するまで通わせる
・様々な部門の経験を持たせ会社全体を把握させる
・技術などノウハウを伝える
■ 財務面の準備
・会社の株式などの資産の分配を考える
・事業承継で発生する税金に対する節税対策を考える
今回のコラムについて詳細を知りたい方は、お気軽に当事務所までご連絡ください。
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