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税務を取り巻く環境は、年々大きな変化を見せています。 このコラムでは、世の中の動きをプロの視点から できるだけ分かりやすく解説していきたいと思います。
10月号
海外居住者への贈与と課税の公正について

本当に被災された方のことを考えているのか?

最近、そう思いたくなるような、原発事故の損害賠償紛争審査会の委員が電力業界とつながりの深い研究所から報酬を得ていた、という問題がありました。

これでは審査会の公正さが疑問視されても仕方ないですよね。

さて、今回は海外居住者への贈与と課税の公正についてお話ししたいと思います。

以前の税制では「海外居住者への海外財産の贈与は非課税扱い」という贈与に関する規定がありました。

そのため、この税制を利用して海外居住者へ贈与を行い租税回避を行う人がいました。

今年最高裁の判決が下された有名な事案で「武富士事件」として既にご存知の方もいらっしゃると思いますが、外国法人株を海外に住所がある子供へ贈与が行われ話題になりました。

本来ならば、当時の税制に従って非課税になるのですが、東京国税局は、贈与を受けた者の生活の本拠は日本にあったとみなし課税約1650億円の申告漏れを指摘して、約1330億円の追徴課税をしました。

今回の事案では、最終的に最高裁では以下のような判決が出ました。

「贈与税を回避するために海外に居宅を移し実際に生活していたことは明らか」であるとしながらも、憲法の「課税の要件は法律によって定められなければならない」という規定などから課税要件は明確でなくてはならなく、一般的な法感情の観点からは違和感も生じるが非課税はやむを得ない。

つまり、最高裁は租税回避は明確だが、法律で課税の要件を明確にしていないので課税することはできない、と判断したのです。

租税回避が明確である海外への移住ならば、課税の公正さからも課税することが当然だと皆様も思うでしょう。

また、法律で課税の要件を明確にしていないのに、特別の法解釈や特別の事実認定で課税されることは許されないとも思うでしょう。

このように、税制は人が作ったものですから最初から完璧ではなく、矛盾点もあります。

そして、現在では相続税法の改正が行われ「海外居住者への海外財産の贈与であっても、その贈与を受けた人が日本国籍を有しており、贈与をする側または受ける側が5年以内に国内に住所を有していた場合には日本での贈与税が課税される」というように税制改正が行われました。

この改正の背景には、以前に比べ経済がグローバル化し、今回のような税制を利用して租税回避行為が多くなってきたことが挙げられます。

課税の公正さが損なわれないため、また、税制に対する信頼が失われないために、時代の流れとともに税制も常に改正されていくのです。

私も常に変化する税制にすばやく対応し、租税法律主義が徹底された課税の公正の基、微力ながら皆様の財産を守るお手伝いをさせていただきたいと思います。

今回のコラムについて詳細を知りたい方は、お気軽に当事務所までご連絡ください。

2011/10/01
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